| S2-1 | 不眠の疫学 |
| 1)久留米大学医学部精神神経科、 2)小鳥居諫早病院 | |
| ○ 内村直尚1)、小鳥居 湛2) | |
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<はじめに> 不眠の実態は欧米においては多くの研究者により報告されており、加齢によって増加し、70歳代では50%近くを占め、いずれの年代でも女性に多いことが明らかにされている。18〜80歳の米国Los Angels 住民を対象に施行した調査では32.2%の住民が睡眠問題を抱えていることが示されている。一方、本邦での不眠の実態に関する調査は、厚生省睡眠障害班が全国11の総合病院において6,466人の新患外来患者を対象に行い、19.6%が現在睡眠問題で困っており、女性および高齢者でその頻度が高いことを明らかにしている。また、健康体力づくり財団が全国の一般市民3,030人を対象に行った調査では23.1%が睡眠で休養がとれていないと回答している。この様に本邦での報告も欧米に類似しているようだが、一般住民を対象とした大規模な疫学調査が少ないのが現状である そこで今回我々は、12歳以上の一般住民に対してアンケートによる睡眠調査を行い、夜勤の有無との関連についても検討したので報告する。 <対象と方法> 演者ら久留米睡眠障害研究会の会員が所属する精神病院の勤務者およびその家族を含めた一般住民および中学生、高校生、大学生の合計11,171人(平均年齢33.6歳)を対象として1999年7月に最近1年間の睡眠状況に関するアンケート調査を行った。年齢構成は19歳以下が12%、20歳代30%、30歳代15%、40歳代18%、50〜64歳19%、65歳以上が6%で一般人口分布と比べると20歳代が多かった。性別では男性が35%、女性が65%で医療従事者が占める割合は33%であった。また、夜勤を行っている(交代勤務)者が33%であった。 <結 果> 眠れないで困っている(不眠)者が27.2%であり、その中で軽度が22.7%。重度4.5%であった。男性は22.9%(軽度18.8%、重度4.1%)、女性は29.4%(軽度22.4%、重度7.0%)と女性に多かった。また、交代勤務者では33.9%(軽度28.1%、重度5.8%)、非交代勤務者では24.0%(軽度17.9%、重度6.1%)であり、前者が大きく上回り、軽度の者が多かった。各年代ともに男性より女性に多く、深刻に不眠に悩んでいる(重度)者は50歳以上に多かった。不眠のタイプは入眠障害が最も多く、特に20歳代では半数近くに認められた。次に、熟眠障害と中途覚醒がほぼ同数であり、65歳以上では中途覚醒が多かった。また、早朝覚醒は加齢とともに増加傾向を示した。睡眠薬を服用している者の頻度は全体の10%であり、2日に1度以上の服用者は1%であった。交代勤務者は14%、非交代勤務者は8%で交代勤務者に多く見られたが、週に1回未満の者が多かった。睡眠薬服用頻度は加齢とともに増加し、65歳以上では約22%で、2日に1度以上の服用者が5%を占めていた。また、どの年代でも女性が男性を上回った。一方、眠る目的でアルコールを使用している者が20%を占め、男性に多く見られ、特に2日に1度以上の飲酒者の頻度が高かった。交代勤務者の飲酒率(25%)は、非交代勤務者(19%)を上回り、週に1回未満の者が多かった。 <考 察> 今回の調査から得られた不眠の頻度は欧米の報告により近く、女性に多く高齢者で増加する傾向も一致していた。一方、睡眠薬服用率より眠る目的でのアルコール飲酒率が上回った結果は欧米の報告とは異なり、本邦での睡眠薬に対しての不安や偏見の強さをうかがわせた。また、交代勤務者は非交代勤務者に比べ、軽度の不眠が多く見られ、頓服で睡眠薬を服用したり、飲酒する割合が多いことが示唆された。 | |