[註5] 金縛り体験と夢魔
現代でも、金縛り体験を霊力など心霊現象と考える人も少なくない。大学生を対象に調査した結果では半信半疑の人も含めると、女性の70%、男性の45%が金縛りと霊魂の関係について肯定的に考えている。外国でも悪魔や霊魂などとの関係が信じられており、夢魔(nightmare, incubus, succubus)がこれに相当する。図は18世紀末の画家H.Fuseriによって描かれた夢魔(The nightmare: 1781)という作品である。この絵では眠っている女性の上に雄の夢魔が座り込んでいる。後ろから覗いている不気味な目をした馬は、夢魔を乗せて闇夜を走り回る「夜の雌馬」である。何者かが胸の上に乗っているような息苦しさを感じながら、身動きできずに横たわる主人公の姿は、金縛り体験の特徴を余すところ無く表現している。



[N. Powell 1973 Fuseli: The Nightmare. London, Allen Lane(辻井忠男(訳)フューゼリ 
夢魔 みすず書房 1979)]