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II.概日リズム睡眠障害  (Circadian rhythm sleep disorders)


 睡眠の経過自体には特別の異常は見られず、毎日の睡眠時間はほぼ一定しているものの、入眠時刻と覚醒時刻が、その患者と同じ環境で生活している他の大多数の人々にとって望ましいとされる睡眠・覚醒の時間帯と同期しないものを言います。 一方この障害の結果として、患者は夜間眠るべき時間帯に不眠を、覚醒すべき時間帯に過眠、集中力低下、全身倦怠感などを経験し、長期間にわたり社会生活や日常生活上苦痛や支障が起ります。 
 この中、極端な宵っぱりで朝寝坊型の睡眠覚醒リズムが持続し、いろいろ努力しても矯正困難な場合を睡眠相後退症候群(delayed sleep phase syndrome)と呼びます。 
夕方早くから眠くなり、朝早く目覚めてしまう睡眠相前進症候群(advanced sleep phase syndrome)はこの逆の場合ですが、社会生活上支障を来すことは比較的少ないため病院に来ることは稀です。
 人間の体内リズムは24時間よりも長めで、25時間前後のことが多いので、正常人は毎朝明るい光・周囲の物音など社会的接触や社会生活の制約により体内時計の時刻を早める方向に調節していると考えられています。外界からの動機づけの乏しい不規則な生活をしていると朝寝坊になりがちです。社会的接触が完全には失われず、一定の範囲の遅れで生活が行われている場合が睡眠相後退症候群と考えられます。外界と完全に無関係に自分の体内リズムのみにより睡眠・覚醒が起る場合を非24時間概日リズム睡眠障害(Non-24 hour circadian rhythm sleep disorder)と呼びます。この場合起床時刻と就寝時刻が毎日少しずつ遅れていき2週間位の周期で昼夜の睡眠・覚醒リズムの逆転が起ります。睡眠・覚醒ばかりでなく、体温やホルモンなどにも自由継続リズム(free running rhythm)がみられます。
 治療は睡眠記録表を長期間記録し、自らの自覚と動機づけを高め、社会的同調因子を強めたり、朝明るい光を浴びたり、睡眠時間帯をずらして昼夜の再逆転をしたり、入眠促進剤、リズム調節剤(メラトニン)などの薬物療法を組み合わせて行います。時間生物学的専門知識が必要です。